賞与計算=賃金台帳を調製することと同じです。
賞与計算を実行できる期間は、賞与計算期間の締切日の翌日から支払日の前日まで。
賞与計算そのものが終わっても、現実の賞与支払い、法定控除項目の納付、賞与支払届の届出など賃金台帳を参照する関連業務(いわば「残務処理」)があります。
賃金計算担当者が経理を兼務する場合には
賃金(給与・計算)計算業務=賃金台帳を適切に調製する+残務処理と捉えましょう。
給与と賞与の違い
給与計算と賞与計算の違い
社会保険料の算出方法が違います。
所得税の算出方法が違います。
【年単位】事前準備
賃金管理>賃金(給与・賞与)計算フローにおける【年単位】は勤怠管理の1年と同じです。
給与計算フローと同じです。
■■■■■■■■■■給与計算フロー
【賞与計算期間単位】事前準備_スケジュール確認
賞与計算そのものが終わっても、法定控除項目の納付、賞与支払届の届出などの業務があります。
賞与計算できる期間は、賞与計算期間の締切日の翌日から支払日の前日まで。
金融機関振込の場合、
金融機関によっては支払日の3日前までに振込データを届出なければならないこともあります。
土曜日、日曜日、祝祭日、会社の所定休日によっては、
現実に賞与計算業務に使用できる時間(期間)がタイト(窮屈)になる可能性があります。
あらかじめ、賞与計算に使用できる時間(期間)を把握しておきましょう。
就業規則、賃金規程等に基づき、、、賃金計算のスケジュールを把握する。
賃金計算締切日、支払準備(金融機関指定日・窓口営業日)、支払日など
賃金(給与・給与)計算の設定が変わる時期を事前に把握する。
- 毎年1月(に支払う給与から適用)
-
- 源泉所得税額表の改定
- 源泉所得税額表の改定
- 毎年3月(ときに4月)(翌月に支払う給与から適用)
-
- 健康保険料率、介護保険料率、子ども子育て拠出金率の改定
- 健康保険料率、介護保険料率、子ども子育て拠出金率の改定
- 毎年4月(に締切日がある給与から適用)
-
- 雇用保険料率、労災保険料率(約3年ごと)、一般拠出金率、社会保険現物給与価格の改定
- 雇用保険料率、労災保険料率(約3年ごと)、一般拠出金率、社会保険現物給与価格の改定
- 毎年6月(会社の設定による)
-
- 特別徴収の住民税額の変更(6月分)
- 特別徴収の住民税額の変更(6月分)
- 毎年7月(会社の設定による)
-
- 特別徴収の住民税額の変更(7月分から翌年5月分まで)
- 特別徴収の住民税額の変更(7月分から翌年5月分まで)
- 毎年9月(翌月に支払う給与から適用)
-
- 標準報酬月額の改定
- 標準報酬月額の改定
- 毎年10月(に締切日がある給与から適用)
-
- 最低賃金の改定=社員の給与設定が最低賃金に抵触していないか確認する。
- 最低賃金の改定=社員の給与設定が最低賃金に抵触していないか確認する。
- 毎年12月(~1月)
-
- 源泉所得税の年末調整
- 源泉所得税の年末調整
- その他(随時)
-
- 通勤手当の非課税限度額の改定
- 扶養異動による特別徴収の住民税額の変更
- 月額変更届による標準報酬月額の改定
- 産前産後・育児休業開始による社会保険料免除
- 年齢到達による、、、介護保険該当・不該当、雇用保険料免除、厚生年金保険資格喪失、健康保険資格喪失
賞与計算フロー
賞与計算を実行できる期間は、賞与計算期間の締切日の翌日から支払日の前日まで。
賞与計算そのものが終わっても、現実の賞与支払い、法定控除項目の納付、賞与支払届の届出などの業務があります。
- 賞与計算期間締切日_翌日から支払日の前日まで
-
- 賞与計算条件を確認・更新する。
- 従業員情報を確認・更新する。
- 賞与額を決定する。
- 〔賃金台帳の調製〕支給項目を計算する。
- 〔賃金台帳の調製〕控除項目を計算する。
- 〔賃金台帳の調製〕差引支給額を計算する。
- 〔賃金台帳の調製〕計算結果を確認。確定する。
- 賞与支払準備をする。
- 賞与支払日_当日
-
- 賞与明細書を交付する。
- 賞与明細書を交付する。
- 納期限ごと_法定控除項目を納付する
-
- 毎月末日_社会保険料の納付
- 翌月10日_源泉所得税
- 翌月10日_特別徴収の住民税を納付する。
- 賞与支払日から5日以内
-
- 社会保険賞与支払届を届け出る。
賞与計算期間締切日_翌日から支払日の前日まで
賞与計算条件を確認・更新する。
【賞与計算期間単位】事前準備_スケジュール確認>給与計算の設定が変わる時期を事前に把握する。
賞与計算の設定に変更がある場合には、設定を更新する。
- 社会保険料率の設定変更
- 健康保険、介護保険、厚生年金保険、子ども子育て拠出金
- 労働保険料率の設定変更
- 雇用保険、労災保険、石綿一般拠出金
- 所得税の設定変更
- 源泉所得税額表
- 非課税限度額
従業員情報を確認・更新する。
【給与計算期間単位】事前準備_スケジュール確認
で確認した、給与計算の設定に変更がある場合には、設定を更新する。
- 産前産後・育児休業開始による社会保険料免除
- 年齢到達による、、、介護保険該当・不該当、雇用保険料免除、厚生年金保険資格喪失、健康保険資格喪失
- その他
-
- 賃金体系の変更、労働契約変更による給与計算条件の変更がある場合には、設定を更新する。
賞与額を決定する。
〔賃金台帳の調製〕支給項目を計算する。
1つの支給項目には、属性が複数あります。
支給項目の算出に当たり属性集計が含まれる場合、属性集計を確認しながら計算します。
支給項目の属性 | 属性集計の目的 |
所得税課税対象賃金 | 所得税課税対象額の計算に使用 |
労働保険対象賃金 | 雇用保険料、労働保険料の計算に使用 |
社会保険対象賃金 | 社会保険標準賞与額に使用 |
〔賃金台帳の調製〕支給項目>小計を計算する。
総支給額のほか、控除項目(雇用保険、所得税)計算に必要な対象賃金を小計として算出する。
属性 | 属性集計の目的 |
総支給額 | 控除項目の合計値を引く前の値。差引支給額の計算に使用 |
労働保険対象賃金 | 雇用保険料、労働保険料の計算に使用 |
所得税課税対象賃金 | 所得税課税対象額の計算に使用 |
〔賃金台帳の調製〕控除項目>法定控除項目を計算する。
- 計算方法_健康保険・介護保険料(被保険者負担分)
-
- 健康保険料=健康保険標準賞与額*健康保険料率(被保険者負担分)
- 健康保険料+介護保険料=健康保険標準賞与額*(健康保険料率+介護保険料率)(被保険者負担分)
-
-
- 健康保険と介護保険を分ける場合
介護保険料=(健康保険料+介護保険料)-健康保険料
- 健康保険と介護保険を分ける場合
- 健康保険と介護保険を個別に計算する場合
-
- 健康保険料=健康保険標準賞与額*健康保険料率(被保険者負担分)
- 介護保険料=健康保険標準賞与額*介護保険料率(被保険者負担分)
-
-
- 標準賞与額=社会保険標準賞与額の合計(1000円未満は切り捨て)
- 健康保険標準賞与額の上限 年間(4月支払賞与から翌年3月支払賞与)累計573万円
- 計算方法_厚生年金保険(被保険者負担分)
-
- 厚生年金保険料=厚生年金標準賞与額*厚生年金保険料率(被保険者負担分)
-
- 標準賞与額=社会保険標準賞与額の合計(1000円未満は切り捨て)
- 厚生年金保険 標準賞与額の上限 1か月あたり(=1か月に支払う賞与合計額)150万円
- 厚生年金保険料=厚生年金標準賞与額*厚生年金保険料率(被保険者負担分)
- 社会保険(健康保険・厚生年金保険)料の端数処理
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和62年法律第42号)に基づき
50銭以下は切り捨て。50銭を超える場合は切り上げ。
- 計算方法_雇用保険料(被保険者負担分)
-
- 雇用保険料=労働保険対象賃金*雇用保険料率(被保険者負担分)
- 雇用保険料の端数処理
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和62年法律第42号)に基づき
50銭以下は切り捨て。50銭を超える場合は切り上げ。
- 雇用保険料=労働保険対象賃金*雇用保険料率(被保険者負担分)
- 計算方法_所得税
- 賃金台帳>支給項目_所得税課税対象賃金(属性集計)を算出する。
- 所得税課税対象額を算出する。
所得税課税対象額=支給項目小計【所得税課税対象賃金】-(健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料) - 所得税率を求める。
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表から扶養控除親族数から賞与支払日の前月に支払った給与における所得税課税対象額を当てはめ賞与の金額に乗ずべき率(所得税率)を求める。 - 所得税を計算する
- 所得税=所得税課税対象額*所得税率
端数処理:1円未満切り捨て
- 源泉徴収税額表は国税庁HPからダウンロードできます。
-
- 平成30年度源泉徴収税額表
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2017/01.htm
- 国税庁HP>パンフレット・手引き>所得税関係(過去の源泉徴収税額表、所属税の改正のあらましなど)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/01.htm#a-02
- 平成30年度源泉徴収税額表
〔賃金台帳の調製〕控除項目>法定控除項目以外=賃金控除協定に基づき控除する控除項目を計算する。
食事代、積立金など賃金控除協定に基づき給与から控除する金額がある場合には、控除額を計算等により算出し、各控除項目に記入する。
〔賃金台帳の調製〕総控除額を計算する。
- 総控除額=控除項目>法定控除項目+控除項目>法定控除項目以外
〔賃金台帳の調製〕差引支給額を計算する。
差引支給額(給与支払日に支払う金額)を計算する。
- 差引支給額=総支給額-総控除額
〔賃金台帳の調製〕計算結果を確認・確定する。
- 賞与計算条件の確認・更新
- 従業員情報の確認・更新
- 〔賃金台帳の調製〕支給項目
- 〔賃金台帳の調製〕控除項目
それぞれにつき、誤りがないか?=正しく実行できたか?確認し、給与計算結果を確定する。
賞与支払準備をする。
賞与明細書を作成(賃金台帳から賞与明細書に必要な事項を転記)し
賞与支払方法(金融機関振込、現金支払い)にあわせて、賞与支払いの準備をする。
賞与支払日_当日
賞与明細書を交付する。
金融機関振込の場合、当日午前10時までに払い出しできるようにする。
現金支払いの場合、給与を手渡したら受取のサインをもらう。
納期限ごと_法定控除項目を納付する
法定控除項目を納付する。
賃金台帳の合計値を参照し、給与・賞与から控除した額(=経理処理上の預り金)を法定納期限までに納付します。
毎月末日_社会保険料の納付
- 毎月20日頃
その月の末日に納付する社会保険料のお知らせ(保険料納入告知書)が郵送される。
- 社会保険料を確認する
被保険者分と会社負担分の合計額が、保険料納入告知書と『ほぼ一致』しているか?を確認する。
ほぼ一致=端数処理の関係で保険料保険料納入告知書と誤差が出る場合があります。
- 毎月末日までに納付する。
■■■■■■■■■■社会保険料の納付>「ほぼ一致」の確認方法
翌月10日_源泉所得税
- 賃金(給与・賞与)計算から控除した所得税額を確認する。
- 個人事業主等取引先の源泉所得税額を集計する。
- 源泉所得税納付書を作成する。
- 翌月10日までに納付する。
-
- 納期特例を受けている場合は法定納期限までに納付する。
翌月10日_特別徴収の住民税を納付する。
- 賃金計算から控除した住民税額を確認する
- 住民税納付額を確認する
- 市区町村指定の納入書を作成する。
- 翌月10日までに納付する。
-
- 納期特例を受けている場合は法定納期限までに納付する。
賞与支払日から5日以内
社会保険賞与支払届を届け出る。
賞与支払届、賞与支払届総括表を作成し届け出る。
賞与支払予定月に賞与支払を行わなかった場合でも、賞与支払届総括表は届け出る。