
日本における労働人口の減少は年々加速し、日本商工会議所(以下、日商)が2018年3月に実施した調査では、「人手不足」と回答した企業の割合が4年連続で上昇し、66.7%に達しています。
こうした背景のもと、外国人材に対する期待と関心がこれまでになく高まっています。
2017年10月末現在、外国人労働者を雇用している事業所数は約19万事業所、外国人労働者数は約128万人で、近年、右肩上がりの状況が続いています。
現行の出入国管理制度
現行の出入国管理制度は1952年の入管法整備以降、受け入れる外国人材は「専門的・技術的分野の外国人」を原則としていて、限定的な受け入れとなっています。
単純労働者とは異なる一定の専門性・技能を有する外国人材であっても、「専門的・技術的分野」の要件に合致しなければ在留資格が付与されず、就労することができません。
日商の調査によると、中小企業が求める外国人材は「一定の技術を有した専門職層」や「即戦力となるようなミドル人材」が多く、また、人手不足に苦慮する各業界・企業から、一定の専門性・技能を有する外国人材の受け入れを求める「生の声」が数多く聞かれることがわかりました。
日商の提言
そこで日商は、現行の出入国管理制度では認められていない、一定の専門性・技能を有する外国人材を「中間技能人材(仮称)」と定義し、新たな在留資格を創設したうえで、積極的に受け入れていくことを要望する意見書を取りまとめました。以下、簡単にまとめます。
- 「中間技能人材」の創設にあたっては、原則、人手不足の業種・分野であることを受け入れの基本的な条件とし、期間は他の在留資格と同様に5年を上限に更新可とすべき
- 「中間技能人材」の受け入れ業種・分野を判断する際には、
- 業種・分野ごとの人手不足の状況に基づき、受け入れの可否および総量を検討する、
- 業種・分野ごとの人手不足を測る指標には有効求人倍率や失業率等を用いる、
- 有効求人倍率が1倍を超える期間が続いているなど、人手不足が一過性ではなく一定期間続いており、かつ、将来的に改善する見込みが希薄であること、
この3点を基本的な考え方とすべき
- 「中間技能人材」は、政府が設定した業種・分野ごとに求められる専門性・技能を有し、かつ専門性・技能を裏付ける要件として、
- 母国における5年程度の実務経験および高卒以上の学歴を有している者、
- 技能実習修了者、
- わが国の国家資格等取得者のいずれかに該当する者とすべき
その他、在留管理の在り方、外国人材および企業に対する支援体制、「中間技能人材」以外の外国人材の受け入れ等についても提言をまとめています。
日本商工会議所~「専門的・技術的分野の外国人材受け入れに関する意見」について
https://www.jcci.or.jp/recommend/2018/0426110527.html