在留外国人は約256万人いますが、現在問題になっているのが、医療保険制度の不正利用です。
これまで保険料を払ってこなかった外国人が、保険証を取得し、高額な医療を安く受けるケースが相次いでいます。
ある中国人の女性は、日本に来てがんの手術を受け、その後、抗がん剤治療を続けていました。治療費は、数百万円かかるところを、日本の保険証を持っていたため数万円で済んだと言います。
女性はこれまで中国に住んでいて、保険料を支払ったことがありませんでしたが、女性が使ったのは日本の保険証です。
本来、医療保険制度は日本で暮らす人が保険料を出し合ってお互いに支える仕組み
なので、医療を目的に来日した外国人は原則入ることができず、治療費は全額自己負担になります。
保険料を支払っていない外国人が誰でも加入してしまうと、財源が足りなくなるからです。
しかし、仕事や留学などの目的で来日した人は、保険に加入できる制度になっています。
この中に、扶養を受ける人も含まれます。
女性には日本人と結婚した娘がいました。
がんの治療目的ではなく、娘の夫の扶養に入るという名目で来日し、保険に入ることができたのです。
女性は治療が終わったら中国に帰る予定だと話しているため、養ってもらうためではなく治療のために来日した疑いがあります。
日本の医療制度が狙われている?
扶養のほかにも「就労」「留学」などの在留資格を不正に取得して治療を受けるケースが発生しています。
日本の医療制度は外国人にも門戸が開かれていて、就労や留学などの目的で来日した場合、万が一に備えて医療保険に入ることが認められています。
しかし、外国人が病気になったときだけ来日して、保険に加入して治療を受けられる抜け道があることが知れ渡ると、公平性が崩れ、制度への不信感が高まってしまいます。
背後にあるのはこのような手法を斡旋する業者の存在です。
中国には、中国人でも日本の保険を利用できるとうたうサイトがあります。
厚生労働省が全国調査を開始
厚生労働省は8月1日までに、在留外国人による公的医療保険の不正利用や制度の隙間を突いた乱用の実態把握に向けた全国調査を始めました。
公的医療保険に加入して高額医療の自己負担額を低く抑えるために不正に在留資格を得た事例の件数などを、市町村を通して調べます。今秋に結果をまとめ、防止策を検討するとしています。