厚生労働省から、次の2つの通達が公表されました。
・社会福祉施設における労働災害防止に向けたより一層の取組について(令和2年7月28日基安発0728第1号)
・陸上貨物運送事業における労働災害防止に向けた一層の取組について(令和2年8月3日基安発0803第2号)
通達では、令和元年の社会福祉施設における休業4日以上の死傷者数は10,045件(前年比5.2%増)と急増していることや、陸上貨物運送事業においては前年より2.8%減少したものの、平成29年度比で4.6%増加していることなどから、労働災害防止に向けて、重点的に取り組む必要があるとしています。
労働災害の特徴
社会福祉施設では、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」と「転倒」による死傷災害が多く、
特に「動作の反動・無理な動作」は、社会福祉施設における死傷災害の約3割をしめ、他業種と比較しても災害件数が多い傾向にあります。また、施設利用者の送迎時の交通事故も社会福祉施設での特有の事故です。
陸上貨物運送事業における労働災害については、荷役作業時における労働災害が全体の約7割を占めており、荷役作業時の労働災害では特に荷台からの転落が多く、うちトラック荷台等への昇降時に発生するものがその約4割を占めています。
労働災害防止対策で活用したいリーフレットや資料
通達では、社会福祉施設、陸上貨物運送事業の労災の特徴を踏まえ、次の資料等を利用し、関係者団体に対して、積極的な周知・指導に取り組むようにとしています。
社会福祉施設
厚生労働省>職場の危険の見える化(小売業、飲食業、社会福祉施設)実践マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000110454_00003.html
労働災害防止対策の有効なツールの1つとして「職場の危険の見える化」がありますが、本マニュアルでは、例えば、介助の伴う「腰痛予防や」「転倒予防」の見える化の例として、福祉用具(機器・道具)を活用した腰痛予防や、施設利用者の送迎時の交通事故防止のための交通ヒヤリマップの作成など、イラスト入りでわかりやすく紹介されています。
その他、「職場における腰痛予防対策指針」や「エイジフレンドリー補助金」「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」なども紹介されています。
陸上貨物運送事業
厚生労働省>陸上貨物運送事業におけるトラック荷台からの転落を防ぐために荷台昇降設備・装備はありますか?
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11809.html
トラック荷台への昇降時の労働災害を防ぐための最新の安全対策とともに、転落防止に役立つチェックポイントが紹介されています。
また、「労働災害が増えています。荷物の積み降ろしを安全に」(リーフレット)では、荷役作業時の死亡災害にみる災害パターン別の原因と対策が紹介され、参考になります。
【参考】厚生労働省>社会福祉施設における労働災害防止に向けたより一層の取組について(令和2年7月28日基安発0728第1号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200806K0010.pdf
【参考】厚生労働省>陸上貨物運送事業における労働災害防止に向けた一層の取組について(令和2年8月3日基安発0803第2号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200806K0020.pdf
【参考】厚生労働省>陸上貨物運送事業における荷役災害等を防止するための留意事項
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139559.html