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勤続年数の長期化を見すえた人事制度を考えるために

独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」には、勤続年数の長期化を見すえた対応を行う際に参考になるポイントが掲載されています。

 

管理職への昇進が見込めなくなった場合の処遇

管理職への昇進が見込めなくなった正社員の処遇については、「昇進・昇格がないまま勤続」との割合が77.9%と最も高くなっています。次いで管理職相当の専門職として処遇する(34.4%)、管理職相当の社員格付けとする(30.5%)と続いています。

 

以上は中小企業での割合ですが、大企業でも同じような傾向です。

 


キャリア形成のための人事制度とその効果

目標管理制度やキャリア面談等の人事制度について、39歳までの若年層では「メンター制度」が特に効果的なようです。

 

高年齢層では全般的に制度導入効果が低いようで、特に自己申告制度などは若年層と比べて効果が薄いか逆効果になる場合(60歳以上)もあるようですが、「社会貢献参加」の制度については効果がありそうです。

 

ボランティアなどの「社会貢献参加」活動の人材育成効果は、社会の価値観に触れる機会(69.5%)、社外ネットワークの拡大(48.6%)、新しい視点の獲得(37.0%)などが多くなっています。大企業も中小企業も同様の傾向です。

 

兼業・副業の取扱い

中小企業の44.0%が、就業規則で兼業・副業を禁止しています。

一方で、「規定がない」との回答が32.3%となっています。

いざというときに慌てないように自社の方針を検討しておきましょう。

 

改正高年齢者雇用安定法の施行

改正高年齢者雇用安定法が4月1日に施行されます。

従業員の70歳までの就業確保を努力義務とする規定が盛り込まれています。

努力義務となってはいますが、計画的に対応を準備しておきましょう。

 

 

【参考】独立行政法人労働政策研究・研修機構>人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」

https://www.jil.go.jp/press/documents/20200529.pdf