厚生労働省が毎年まとめている「個別労働紛争解決制度の施行状況」の令和2年度の内容が明らかになりました。
「個別労働紛争解決制度」は、[1]~[3]の3つあります。
[1]都道府県労働局や各労働基準監督署内等で専門の相談員が対応する「総合労働相談」
[2]都道府県労働局長による「助言・指導」
[3]紛争調整委員会による「あっせん」
このほど公表されたそれぞれの件数、事件内容等をご紹介します。
“いじめ・嫌がらせ”が労働トラブルのトップ_相談件数では9年連続
出典:厚生労働省>令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況>総合労働相談|相談件数の推移
[1]総合労働相談
・相談件数
総合労働相談は、約130万件で過去最多。
民事上の個別労働紛争相談は、令和元年度の279,210件に次いで、令和2年度は278,778件と、過去2番目に多かった。
・相談内容別の件数
「いじめ・嫌がらせ」22.8%が最も多く、「自己都合退職」11.4%、「解雇」10.9%、「労働条件の引き下げ」9.3%となっている。
[2]都道府県労働局長による助言・指導
・申出件数
令和2年度は9,130件で、過去3年間で最も少ない。
・申出内容別の件数
「いじめ・嫌がらせ」が最も多く18.4%、「解雇」9.7%、「労働条件の引き下げ」9.0%、「自己都合退職」7.4%と続く。
[3]紛争調整委員会によるあっせん
・申請件数
令和2年度は4,255件で、調査を始めた平成23年度から最も少ない。
・申請内容別の件数
「いじめ・嫌がらせ」が最も多く28.0%、「解雇」21.8%、「雇い止め」9.5%、「労働条件の引き下げ」6.9%、「退職勧奨」6.6%となっている。
「ハラスメント対策の重要性」が顕著に
相談・申請等の内容として、平成23年頃は「解雇」が最多だったのに対し、この10年ほどで、「いじめ・嫌がらせ」が圧倒的に多くなる傾向に変わっています。
出典:厚生労働省>令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況>
民事上の個別労働紛争|主な相談内容別の件数推移(10年間)
(※)令和2年6月、労働施策総合推進法が施行され、大企業の職場におけるパワーハラスメントに関する個別労働紛争は同法に基づき対応することとなったため、同法施行以降の大企業の当該紛争に関するものは、いじめ・嫌がらせに計上されていない。
(労働施策総合推進法の中小企業への適用は、来年(2022年4月1日)です。)
令和2年度(令和2年4月~令和3年3月)はコロナ禍真っ只中だったにもかかわらず、「解雇や雇い止め」に関する件数はそれほど目立っていません。
つまり、、、「ハラスメント対策」を強化する必要がある、、、ということです。
【参考】厚生労働省>「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_19430.html
【参考】厚生労働省>職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html