コロナ禍で経営環境が厳しく、従業員の賃上げにも二の足を踏む企業も多いところです。
日本政策金融公庫が公表した「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果(調査時点2021年12月、有効回答数5,640社)によると、2021年12月の正社員の給与水準を前年から「上昇」させた企業割合は41.1%と、前回調査(31.2%)から9.9ポイント上昇したそうです。ただ、コロナ禍前は給与水準上昇との回答が5割を超えていたことから、2年連続で半数を下回っている点が指摘されています。
正社員の給与水準上昇の背景
同調査では、「正社員の給与水準上昇の背景」も聞いており、「自社の業績が改善」と回答した企業割合が35.0%と最も高く、次いで「採用が困難」(19.3%)、「最低賃金の動向」(18.1%)、「同業他社の賃金動向」(10.3%)と続いています。
特に2021年は、「最低賃金の動向」による影響が前年度よりも増加していることから、過去最大の上げ幅となった最低賃金の引上げが影響を与えたことがわかる結果となっています。
他社との採用競争と給与水準の見直し
2022年見通しをみると、給与水準を「上昇」と回答した企業割合は44.4%となっており、増加傾向にあります。コロナによる影響から持ち直している企業も増える中、すでに人手不足を訴える企業も増えています。人手不足は売上機会の逸失というリスクを生み、企業の経営上、影響は非常に大きいところです。今後、他社との人材獲得競争の中、給与水準の見直しを検討することも考えられるでしょう。
【参考】日本政策金融公庫>刊行物・調査結果>総合研究所>調査結果>景況に関する調査>中小企業の雇用・賃金に関する調査結果
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_220225.pdf