「要再検査」「要精密検査」「要医療」など有所見と判定された労働者に対して、事業者は、「二次健康診断の対象となる労働者を把握し、当該労働者に対して、二次健康診断の受診を勧奨するとともに、診断区分に関する医師の判定を受けた当該二次健康診断の結果を事業者に提出するよう働きかけることが適当である」とされています(厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」)。
受けさせっぱなしはNG!健康診断有所見者へは「受診勧奨」を!
この受診勧奨をしなかったために企業が安全配慮義務違反に問われた事件もあり、注意を要します。
また、病気が重症化する前に医療機関を受診すれば、労働者の健康リスクは低減されます。労働者に、健康に長い間働き続けてもらうことができれば、企業の生産性向上、ひいては業績向上にもつながるでしょう。
近時は個人情報保護やプライバシーの観点から受診勧奨を行わない企業も多いようですが、ぜひ積極的に行いたいものです。
受診勧奨の方法
口頭で医療機関の受診を促すこともありますが、受診勧奨は、一般的には文書で行うことが多いようです。
受診勧奨文書の例がウェブサイト等で公開されていますので、参考にして作成するとよいでしょう。
勧奨しても受診しない労働者がいる場合の対応
受診勧奨を行っても、労働者が受診しないということも考えられます。
安全配慮義務の観点からは、万一に備え、企業が義務履行のために最善を尽くしていたという証拠を残しておくことが大切です。
たとえば、企業がどのような受診勧奨を行ったのか、それに対し労働者がどのような理由で受診を拒否したのか、記録しておくことなどが考えられるでしょう。
【参考】厚生労働省>健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K170417K0020.pdf
【参考】厚生労働省>職場における労働衛生対策
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei02.html
【参考】厚生労働省>労災保険二次健康診断等給付
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05927.html
【参考】全国健康保険協会>大阪支部>健診結果を活用した受診勧奨について
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/osaka/cat040/jyusinkansyou/
【参考】独立行政法人労働者健康安全機構>地域産業保健センター
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/333/default.aspx