
令和5年6月2日、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律(マイナンバー法等の一部改正法)」が可決・成立しました。
施行時期は、基本的には、公布の日から起算して1年3か月以内の政令で定める日とされており、令和6年の秋ごろの施行になると見込まれていますが、早めに改正内容を確認しておきましょう。
マイナンバー法等の一部改正法のポイントは6つ
- マイナンバーの利用範囲の拡大(マイナンバー法、住民基本台帳法)
- マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し(マイナンバー法、住民基本台帳法)
- マイナンバーカードと健康保険証の一体化(マイナンバー法、医療保険各法)
- マイナンバーカードの普及・利用促進(マイナンバー法、公的個人認証法、住民基本台帳法、郵便局事務取扱法)
- 戸籍等の記載事項への「氏名の振り仮名」の追加(戸籍法、住民基本台帳法、家事事件手続法、マイナンバー法、公的個人認証法)
- 公金受取口座の登録促進(行政機関等経由登録の特例制度の創設)(公金受取口座登録法等)
とりわけ企業実務>人事労務分野で影響が出るのは、
3.マイナンバーカードと健康保険証の一体化(マイナンバー法、医療保険各法)
- 乳児に交付するマイナンバーカードについて顔写真を不要とする。
- 健康保険証を廃止するとともに、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方が、必要な保険診療等を受けられるよう、本人からの求めに応じて「資格確認書」を提供する。
➔すべての被保険者の円滑な保険診療を可能に
資格確認書については、厚生労働省は「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について(令和5年7月10日保発0710第1号)」という通達を発出しました。
入社時や扶養異動を例にすると、事実発生と資格取得・扶養異動手続完了(=保険者が資格確認→情報登録→健保証交付)までにはタイムラグが必ず発生します。
このような場合における対応として同通達では、
(1)【医療機関が】【患者に】被保険者資格申立書の作成を依頼
(2)【患者が】本申立書を記入し【医療機関に】被保険者資格があることを申立てる
(3)【医療機関は】患者が申し立てした【自己負担分(1~3割)の支払い】を求める。
(4)【患者は】被保険者番号等の情報がわかり次第、受診した医療機関等にその旨伝える としています。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化が定着するまでは、今までと変わらない。
単に公式な書類が作られ、それに基づいて運用される、、、といったところでしょうか。
被保険者が医療機関等にかかる場合、円滑に受診等できることをゴールに、
健保証発行が予定される社内事務のワークフローを再検討する必要があるでしょう。
【参考】厚生労働省>マイナンバー法等の一部改正法(令和5年法律第48号)について
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001114698.pdf
【参考】厚生労働省>マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について