厚生労働省は令和5年の労働災害発生状況を公表しています。
これによると、令和5年1月から12月までの新型コロナウイルス感染症へのり患によるものを除いた労働災害による死亡者数は755人(前年比19人減)と過去最少となり、休業4日以上の死傷者数は135,371人(前年比3,016人増)と3年連続で増加しています。
休業4日以上の死傷者数の事故の型別では「転倒」が最多
休業4日以上の死傷者数の事故の型別では、件数の多い順に「転倒」が36,058人(前年比763人・2.2%増)、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」が22,053人(同1,174人・5.6%増)、「墜落・転落」が20,758人(同138人・0.7%増)となっています。
「第14次労働災害防止計画」と高齢者等の災害
労働災害を減少させるために重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第14次労働災害防止計画」(令和5年度~令和9年度)では、「転倒による平均休業見込日数を令和9年までに40日以下とする」、「増加が見込まれる60歳代以上の死傷年千人率を令和9年までに男女ともその増加に歯止めをかける」などの項目が挙げられていますが、このアウトカム指標に関する状況としては、転倒災害の死傷年千人率は0.628(対前年比0.009ポイント・1.5%増)、転倒による平均休業見込日数は48.5日(同1.0日・2.1%増)、60歳代以上の死傷年千人率は4.022(同0.061ポイント・1.5%増)と増加の状況がみられます。
今後必須となる高齢者の労働災害防止
「令和5年高年齢労働者の労働災害発生状況」によれば、雇用者全体に占める60歳以上の高齢者の割合は18.7%、労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の高齢者の割合は29.3%となっています。高齢者の事故の型別では、「墜落・転落」、「転倒による骨折等」が目立っています。
企業としては、今後の高齢化の状況を踏まえて、転倒災害などの高齢者による事故への備えは必須となってくるでしょう。
【参考】厚生労働省>令和5年の労働災害発生状況を公表
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40395.html