帝国データバンクが、2024年上半期における「人手不足倒産」の件数を公表しました。
2023年上半期の110件を大きく上回る182件もの「人手不足倒産」が発生しており、過去最多ペースで推移しています。
※「人手不足倒産」とは、法的整理(倒産)となった企業のうち、従業員の離職や採用難等により人手を確保できなかったことが要因となった倒産のことをいいます。
倒産件数の8割が「従業員10人未満」
2024年上半期における「人手不足倒産」182件のうち、「従業員10人未満」の小規模事業者の割合は8割を占めています。
厚生労働省の労働力調査(2024年5月)によれば、就業者数は22カ月連続で増加しており、人手不足感は落ち着きつつあるものの、1人の退職者が与えるダメージが大きい小規模事業者では、依然として「人手不足倒産」に追い込まれる可能性は高いと予測されています。
「2024年問題」の影響も
物流業や建設業においては、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が2024年4月から適用されたことによる人手不足(いわゆる「2024年問題」)の影響があり、倒産件数は、建設業で53件、物流業で27件となっており、どちらも年上半期としては過去最多でした。
特に物流業では、時間外労働上限規制や改善基準告示が改正されたことにより、2023年上半期の15件と比較してほぼ倍増となっています。
1人が退職すると、残された社員でその穴を埋めることとなり、負荷に耐えきれずドミノ倒し型に退職が連鎖するケースも多いようです。
採用の強化や、労働条件の改善による離職防止など、自社にあった人手不足対策を検討しましょう。
【参考】帝国データバンク>人手不足倒産の動向調査(2024年上半期)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240703.pdf